『いただきます』と『ご馳走様でした』 ②
- 2025年7月7日
- 読了時間: 4分
皮から革へ
干物のように乾いた皮を、いよいよ「鞣(なめ)す」工程に進めます。
つまり、「皮」を「革」にするのです。
この行為は、人類の歴史において非常に古くから行われてきました。
その起源は旧石器時代、なんと200万年前ともいわれています。
狩猟を生業としていた人々は、獲物の命を余すところなく活かそうとしてこの技術を身につけ、進化させてきたのです。
通常の感覚では、
生きているものは柔らかく、
死んでしまうと、やがて硬くなる。
実際、命あるうちは水分に満ち、しなやかで動きもあります。
しかし命を失うと、乾き、硬くなり、やがて動きを止めていきます。
けれど「革」は違います。
命を終えた皮が、鞣しという人の手を経て、柔らかく、しなやかになり、再び暮らしの中で“生き続ける”存在となるのです。
そう思うと、生と死のあわいに存在する不思議なものと思えてきます。
まるで新たな命を吹き込まれたかのように、長い生命を手に入れた存在。
「革命」「革新」といった、劇的な変化を意味する言葉に「革」の字が使われているのも、うなずけますね。
私が靴を“モンスター”と呼んでいるのは、まさにこうした背景があるからなのです。
そして、“革が化ける” と書く“靴” 、革で作られた靴も、ただの道具ではなく、特別な生ける存在だと考えています。
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革づくりの工程へ
まず、干された皮を水に戻してよく洗います。
次に、「裏打ち機(フレッシングマシン)」を使って、皮の裏面(肉面)に残っている肉片や脂肪を丁寧に取り除きます。
その後、皮を石灰に浸して毛を除去します。
石灰乳に漬けることで皮がアルカリによって膨潤し、コラーゲン繊維がほぐれていきます。
同時に、毛・脂肪・表皮層も分解除去され、皮革独特の柔軟性を得る準備が整います。
次に、酸性の溶液で中和してpHを調整します(脱灰・酵解工程)。
この処理により繊維構造が整い、鞣剤が均等に浸透しやすくなります。
いよいよ鞣し(なめし)の工程へ。
ここでは、タンニン(植物性の渋)やクロム、油などの鞣剤を用いて、皮を本来の腐敗しやすい状態から、耐久性・柔軟性・保存性に優れた「革」へと変化させていきます。
鞣しを終えた革は、一枚一枚広げて余分な水分を除き、「シェービング」と呼ばれる厚み調整を行います。
その後、染色・加脂・乾燥といった工程を経て、最終的な仕上げへと向かいます。
仕上げ工程では、表面の風合いを整えたり、艶を出したり、防水性を高める処理などが施されます。
こうして、かつて命を持っていた「皮」は、代々受け継がれてきた職人の知恵と技術により、数々の工程を経て、新たな存在――「革」へと生まれ変わるのです。












今回、(株)オールマイティさんのご協力のもと、私達は猟師さんへの同行と鞣し作業の体験をさせて頂きました。これまでも、私の考えや要望もいつも親身に聞いて頂き、とてもお世話になってきている方々ですが、今回に関しても本当感謝の思いでいっぱいです。
物の根源を知ると言うことは本質を知ると言うことでも有ると思います。
この、物で溢れた現代社会において、
私達は、「靴」という物を深く理解し、創出していく必要が有ると思っています。
皆さんに履いて頂いている靴達が生き生きと役立ち、そして愛おしく思っていただけるように。
そして、水瀬会長が当日おっしゃられていた、
『いただきます』と『ご馳走様でした』 が大事だと。
この言葉は強く私に響きました。
『動物達の命をいただきます。そして、それを有用にする為に奔走した方々へご馳走さまでした。』
何事も、
感謝の気持ちが一番大事だとあらためて強く思った機会となりました。


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